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a.概要
概要
(PICSY自体の)目標
PICSYの基本原理
PICSY Projectの方向・目標

b.モデル
GoogleのPageRank
水槽のメタファー
取引
予算制約
投資という性質
カンパニー
プロジェクト人事評価システム

c.特徴
・価値が伝播する貨幣
・すべてが投資の貨幣
・組織をバーチャルにする貨幣
・コミュニケーションを変える貨幣
・より公正な貨幣
・一瞬一瞬が均衡している貨幣


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■GoogleのPageRank

 PICSYと似たような行列計算でコミュニティ内での評判をはかっている仕組みとして、有名な検索エンジンGoogleがあります。システム的には完全に同じではありませんが、こういう仕組みを実際に働かせるとどうなるのか体験できるという意味でGoogleは貴重です。(使ったことはありますよね?)

 Googleの場合は、@他のPageからたくさんリンクされているサイトは評判がよい、A評判のよいサイトからのリンクのほうが価値が高い、ということを、行列計算を使って計算しています。このアルゴリズムをPageRankといいます。(fig.1)
 もちろん、漠然と似てはいても、GoogleはWebサイトの評価・検索システムでPICSYは人間の評価システムですから、いろいろと違いがあります。PICSYが具体的にどのようなモデルなのかを説明していきましょう。
fig1.リンクから評判を計算するGoogle

■水槽のメタファー

 PICSYとGoogleがもつ共通の性質は、概要でも説明しましたが、水槽のメタファーで語ることができます。ひとりひとりの互いへの評価はポンプの強さに相当し、ある人の社会全体への貢献度は、時間がたった後におけるその人の水槽の水の量に相当します。(fig.2)
fig2.価値(ポンプの強さ)と貢献度(水の量)
 たとえば、全員が他の人に均等に評価をしたとします。これは、同じ強さのポンプで水を流し続けることに相当します。すると、入る量と出る量が同じなので、水の高さは全員同じです。(fig.3)
fig3.全員が均等に評価した場合

 ここで、Aに対するBとCの評価が高くなったとしますと、B→CとC→Bがその分評価が低くなりますので、最終的な水の量(=社会全体への貢献度)はAが多くなります。(fig.4)
fig4.Aに対する評価が高い場合

 このような計算を行う一般的な数学の方法があります。それが行列計算です。(fig.5)
fig5.行列計算で貢献度(評判)を計算する


 さて、このような性質をもつPICSYですが、いったいどうやって取引するのでしょうか。


■取引=投資

 まず、AがBからモノを買ったとします。BからAにモノが移動するかわりに、Aがその対価としてBの評価を上げます。Aはいろいろな人にこのような評価をしますが、買うばかりでなく、モノを売ることによって評価されます。(fig.6)

fig6.購買/評価

 すでに0.1の評価がある人に対して、さらに0.2の評価を加えると、0.3の評価になります。このようにして、評価を足し合わせることができるものとします。
 PICSYにおける取引は、投資と同じような効果をもちます。ある意味で、売り手がモノやサービスを現物出資しているようなものなのです。(fig.7) 現物出資したモノやサービスがよいものならば、その人の価値を押し上げる要因になるので、後で売値以上の価値が戻ってくることになります。逆に悪いモノならば、後で売値以下の価値になるかもしれません。
fig7.投資としての取引

■予算制約

 PICSYでは、一人の人から出る評価の総和は1です。1人が一票もっていて、自分がどの人に依存しているかを割合で示します。割合だから、全部足すと1でなくてはなりません。逆に言うと、すでに1使い切っている人がモノを買おうとすると、他の人への評価を下げてしまうことになるのです。
 そこで、ある一定の量以下の価値までしか使えなくしてしまおうというのが予算制約という概念です。予算制約を使わないというモデルの立て方もあります。この場合は、ある日突然ある人が大規模な取引をすると、その前日にモノを売った人が大損してしまいかねません。
 予算制約には、すでに3つの仕方が知られています。どの仕方でも用いられるのが、自然回収という方法です。たとえば、1日ごとに0.01%ずつすべての評価を引いていってしまい、集まった分の範囲内だけしか使うことはできないというものです。これはある意味でゲゼルのいう減価通貨に近い発想で、このパラメータによって貨幣速度を上げることができます。  他者評価法は、評価そのものはまきあげないで、他者への評価として保持しておくが、その範囲内で減ることもありうるという予算制約の方法です。したがって、その人がものを買うまでは、行列計算による貢献度は変わりません。自己評価法は、定期的に減った分の評価を自分自身への評価へと振ってしまいます。行列上では、対角成分が増えていくわけです。この方法では、時間がたつと自然に評価が減っていくので、リスクが分散されているといえるでしょう。中央銀行法では、中央銀行にそれらの評価を集めてしまいます。


【自然回収の方法】

性質/自然回収の方法 他者評価法 自己評価法 中央銀行法
貢献度が下がるべき 自分が買った 状況に依存 ○(下がる) 実装方法に依存
買い手(投資先)が買った 実装方法に依存
貢献度が上がるべき 自分が売った
買い手(投資先)が売った
貢献度が不変であるべき 自然回収 ○(不変) ?(不変にしたい) ?(下がる)
問題点 他者(元買い手)の突然の大規模な購買によって、自分の貢献度が突然大きく下がることがある。(リスクが時間的に分散されていない) 自然回収時に貢献度を不変にする方法が知られていない 自然回収時に公正に貢献度を下げる方法が知られていない
カンパニーの解体時に自己評価が残ってしまう。 大量にモノを買ったときに、自分の評判が下がるから今まで売ってくれた人にダメージを与える可能性がある。(ただし、将来的に貢献度が上がれば可) 実装方法がまだしっかりと固まっていない
  貢献度が自己増殖する。(自己評価が高い人からモノを買ったほうが相対的に得になる) 貢献度が自己増殖する可能性が否定できない

 他者評価法と自己評価法と中央銀行法には、それぞれ一長一短があります。それぞれの方法をチューンアップして、問題点を解決することが目下の課題になっています。現時点では、PICSY demoは、自己評価法で実装していますが、今後変わる可能性もあります。


■価格

 取引には価格があります。では、PICSYでは価格をどのように決めればいいのでしょうか。その前に、PICSYとは逆の現状の決済貨幣ではどのように価格を決めているのかを考えて見ましょう。価格は、基本的には取引をする両者の合意のもとで行われます。売り手が定価を決めて、買い手がその価格に従うというのもひとつの方法です。他にも、オークション、逆オークション、入札、相見積もりを重ねての個別交渉等の価格決定の方法があります。低価格な消費物に関しては定価というのが多いですが、ある程度の規模で個別性が高い財に関しては、見積書による個別交渉となるでしょう。国が行う建設公共事業などは入札によって価格がきまることでしょう。  PICSYでも全く同じです。様々な価格決定方式が残ることでしょう。しかし、異なった価格のもとを測るモノサシは必要です。決済貨幣の場合は金額の多寡ですが、PICSYの場合は、売ることによって上げることのできる貢献度の大きさになります。たとえば、定価計算の場合は、この貢献度の上昇分が定価になりますが、実際にそれだけの貢献度を上げるための買い手から売り手へ出す評価の上昇分は、人によって異なります。多くの貢献度を持った買い手はより少ない評価の上昇分で、同じモノを買うことができるのです。これが貢献度=購買力といわれる所以なのです。


■カンパニー

 これまでの話では、人と人が直接取引きをする経済活動しかありませんでした。これでは、大規模な生産活動を行うことはできません。私たちは、同じ志をもつ仲間と一緒に仕事をすることによって、ひとりでは決してできないことが可能になりますし、買い手のほうからみれば、インターフェイスが統一化するので、世界を単純化することができるようになります。つまり、企業(Business)と個人(Consumer)間の取引(B2C)や企業と企業の取引(B2B)ができる仕組みを作らねばならないのです。PICSYでは、この企業のことを仮にカンパニーと呼んでいます。カンパニー(Company)というのは、「仲間」という意味ですから、PICSYののりには合っているでしょう? 

fig08.PICSYは世界人事評価システム

 カンパニーは、どのようにして作るのでしょうか。ここで、分配率法というカンパニーの捉え方が登場します。分配率法とは、「カンパニーは評価を分配しているにすぎない」という考え方です。
カンパニーは人と同じような水槽をもっているわけではありません。もしもカンパニーが水槽をもつことができたら、登記したぶんだけで水槽をどんどん作れるのですから、価値がインフレしてしまって大変なことになってしまいます。 しかし、カンパニーには、人と同じように、他のアクター(カンパニーと人を合わせた経済主体一般のこと)から評価が与えられ、カンパニーが他のアクターに対して評価を与えます。
fig09.カンパニーによる評価の分配

 アクターBからカンパニーAにはいった評価は、カンパニーAが他のアクターへ出す評価の割合で分配されてしまいます。分配してしまったら、カンパニーはもういらないですね。このことをカンパニーの仮想解体といいます。一番簡単な例で考えてみましょう。この世の中にはカンパニーAしかカンパニーはないとします。ここに4人の人がいたとして、2人はカンパニーAを評価し、カンパニーAは残りの2人に対して評価するとします。
 このとき、仮想解体をすると、まず人BからカンパニーAへの評価0.3は、カンパニーAが0.2と0.8の割合で人Dと人Eに評価をしているので、人B→人Dは0.3×0.2=0.06、人B→人Eは0.3×0.8=0.24となります。次に人Cも同様に分配してしまいます。
fig10.カンパニーの仮想解体の例

 現実には、カンパニー同士の取引もありますし、かつそれらが複雑なネットワークを組んでいます。どうやったら解体した後の人だけが残った行列を計算できるのでしょうか。
fig11.カンパニーの仮想解体による行列の解体

 最近、カンパニーを仮想解体した後の行列を計算するアルゴリズムが発見されました。詳しくは説明しませんが、人Bから人Cへの経路の積を、すべての経路で足し合わせたものです。このようにして解体したものから、個々人の貢献度が計算されます。この貢献度から逆算して、各カンパニーに流れる流量を計算することができます。いわばこの値が、カンパニーの貢献度をあらわしています。


■プロジェクト人事評価システム

ただいま執筆中です。もうしばらくお待ちください。